エーザイにおける薬剤師の中途採用事情~募集内容、年収、就労環境など~

 

武田薬品、アステラス製薬、第一三共、大塚製薬などと並ぶ、日本を代表する医薬品メーカー、エーザイ。研究開発から生産・物流、営業まで、製品販売に関わる全ての部門を持つ、日本唯一のメーカーです。

 

アメリカや英国においても、同様の体制を作り、安定した業績をあげつつ、インドや中国といった新興国にも、国内メーカーのなかで、いち早く参入した、真にグローバルな企業でもあり、実際、海外での売上比率が、国内メーカーのなかでも最も高く、過半数を超えています。

 

目次

エーザイにおける薬剤師の中途採用

基本的に、エーザイは中途採用を避けていた会社です。新卒で採用して、社内で育てるという人事方針を掲げてきたためです。ただし、医薬品業界における開発競争の激化に伴い、優秀な人材を求めるニーズが現場で高まったことから、近年ではキャリア採用に踏み切っています。

 

ただし、研究開発部門以外では、新卒重視の方向性は変わっておらず、中途採用でエーザイに入社出来るチャンスは、創薬研究・臨床開発といった業務に限られています。

 

薬剤師が中途で製薬会社に入る場合、MRといった選択肢もありますが、エーザイに限っては、中途採用枠でMRとして入るのは、今のところは無理と考えてください。ただし、今後はどうなるか分からないというのも、正直なところです。

 

研究開発部門で、本格的にキャリア採用を始めたのも、ここ数年ですし、それまでは、新卒メインという姿勢を崩すそぶりは全くありませんでした。それが急に、中途にも目を向けるようになったので、今後は、他の職種においても、その動きが広がる可能性があります。

 

特に、エーザイは国際化を進めていますが、グローバルで活躍出来る人材が、社内で不足しているので、外資出身者など、世界水準での働き方に精通している人材を確保するために、動くことが十分に考えられます。

 

このように、エーザイの中途採用の求人事情は、かなり流動的なので、薬剤師の転職支援サービスに力を入れている転職会社に、最新の情報について確認することをオススメします。(このページの最後に、代表的な会社をリストアップしておきますので、参考にしてください。)

 

なお、今現在、発生している研究開発部門における、中途採用求人の内容ですが、上記のような背景があるため、即戦力とみなされるような人でなければ、採用されるチャンスは殆どありません。そのため、薬剤師としての調剤経験があるというだけでは、弱いです。

 

勤務実績が10年以上あるなど、経験を豊富に有すること、ガン専門薬剤師など、認定薬剤師であること、CRAやCRCとしての実務経験があることなど、専門知識・経験を積み上げていないと、エーザイから採用されることは無いでしょう。

 

また、薬剤師としての専門性以外では、グローバルで開発を進めているため、海外の研究者と協働して、研究を進められるような素養がある人は、高く評価されます。そのため、コミュニケーションスキルや語学力というのも、大きな武器となります。

 

(薬剤師の資格を持っていて、医療翻訳に取り組んでいるといった人だと、チャンスがあるかもしれません。)

 

エーザイにおける薬剤師の年収・人事評価制度について

ここから、エーザイの社内環境について見ていきますが、このページでは、薬剤師という武器を活かして、転職を目指す人を想定しているため、研究開発部門に限定する形で、お伝えしていきます。

 

また、薬剤師と親和性がある職種ということで、MRのことについても、状況に応じて触れるようにします。

 

まず、エーザイにおける社員の年収ですが、日系医薬品メーカーのなかでも、トップレベルです。幾つか、代表的な年収例を挙げると、下記のようになります。なお、エーザイは中途では経験豊富なベテランしか採用しないため、平均年齢は40歳を超えます。

 

また、MRについては、中途では、殆ど採用実績はないので、下記の例は、全て新卒で入社した人の年収となります。これぐらいの年収レベルにあるという実例として、参考にしてください。(中途で採用される場合、同じ年齢の人と、おおむね同じレベルになることが予想されます。)

 

  • 34歳 研究開発 年収900万円
  • 40歳 研究開発 年収1000万円
  • 45歳 研究開発(課長) 年収1300万円
  • 50歳 主幹研究員 年収1400万円
  • 30歳 MR 年収690万円
  • 30歳 MR 年収750万円
  • 35歳 MR 年収700万円
  • 36歳 MR主任 年収980万円

 

給与制度の特徴としては、基本給はそれほど高くなく、賞与の比率が高くなっています。会社の業績にもよりますが、賞与が8ヶ月分ぐらいになることもあります。典型的な年功序列型なので、勤続年数に比例して、年収が上がる仕組みとなっています。

 

人事評価制度も、年功序列そのものとなっており、昇給・昇格においても、年齢・勤続年数が最も重要な要素となっています。

 

エーザイは若い人にもチャンスを与える会社なので、入社数年でも、責任の重い重要な仕事を任せてもらえますし、プロジェクトリーダーに任命されることもあります。

 

これは中途でも変わらず、即戦力として採用されていることもあり、入社直後からプロジェクトの主軸としての役割を任されることもあります。こういった仕事の割り振りについては、実力主義で、能力や実績が高い人、やる気がある人ほど、優先されることになります。

 

ただし、これが給与増・昇進には、つながらないのが、エーザイという会社です。その点は、不公平感はありますが、元々の給与水準が高いうえ、リストラなどもなく、安定した職場であることから、不満を感じる社員は少ないようです。

 

むしろ、毎年、一定額の給与アップが確定しているので、安心して、面白い仕事に取り組めると歓迎している人のほうが多いです。

 

しかしながら、エーザイは実績重視型の評価制度に切り替えつつあるので、今後は、状況が大きく変わる可能性があります。

 

就労環境(ワークライフバランス)について

研究開発部門については、部署ごとに忙しさの度合いが全く違うので、ワークライフバランスという観点で見ると、『エーザイはこう』とは一言では表現出来ないというのが、正直なところです。

 

ほぼ毎日定時退社、残業・休日出勤無し、有給も取得しやすいという部署もあれば、毎日夜遅くまで働くことを余儀なくされ、ワークライフバランスが完全に崩れている、有給も取れないという部署もあります。

 

後者のような業務に追われている部署というのは、ごく一部なので、会社全体で見れば、就労環境は良好な会社ですが、例外もあるということは、頭に入れておいて、転職を目指す時には、入社後、自分が配属される可能性が高い部署の状況について、把握しておくことをオススメします。

 

なお、MRについては、みなし労働制なので、コアタイムだけ出勤すれば、あとは個人の裁量に任されているので、自由度が高くなっています。ただし、研究会に出席するために、週末出勤が発生したり、接待でプライベートを犠牲せざるを得ないケースもあるので、このあたりは覚悟しておいたほうがいいです。

 

成長環境について

エーザイは社員にチャレンジさせる会社であり、本人が希望すれば、責任ある仕事を任せてもらえるので、業務を通じて、様々な経験を積んで成長出来る職場です。グローバルで研究開発を進める機会が多いので、国際的なセンスも身につけられます。

 

その一方、会社として、長期的に人材を育成するような、キャリア開発プログラムなどについては、それほど特筆するものはありません。セミナー、研修、学会などに参加することが出来ますし、会社の半額負担で、外部の通信講座などを受講することも出来ます。

 

ただし、エーザイはOJTを重視していることもあり、学びの機会という点では弱いです。研究予算が潤沢に用意されているため、研究に打ち込むなかで、仕事を通じて、コミュニケーション能力やリーダーシップ、目標達成力などを身につけるというのが、自己成長の手段としては、ベストです。

 

女性の働きやすさについて

エーザイは男女に関係なく、実力があれば良い仕事が出来る会社ですし、成果を出せば、認められる会社でもあるので、女性だからといって働きにくいということはありません。女性を管理職に取り立てていこうという動きもあるため、昇進の機会も開けています。

 

また、エーザイは、子供を持つ女性が、仕事に打ち込めるロールモデルの策定に取り組んでおり、育休・産休も取りやすく、出産・育児が原因で退社するという例は、まずありません。ちなみに、男性社員の育児休暇取得も認められており、取得実績が年々増えています。

 

エーザイの転職先としての価値

ここまで、様々な視点からエーザイの社内環境について見てきましたが、業績が安定した日本を代表するメーカーであり、就労環境も整っているので、転職を目指すには良い会社です。

 

特に、薬剤師としての知識・経験を活かす形で、新しいことにチャレンジしてみたいという人にとっては、エーザイは、理想的な環境です。ぜひ、真剣に考えてみてください。

 

ただし、冒頭でも触れたように、エーザイが中途採用に力を入れ始めたのは、ここ数年なので、求人が発生する頻度は限られています。そのため、新規で募集がかかった時に、求人情報を的確に入手することが重要です。

 

薬剤師の転職支援を得意とする転職会社に登録しておけば、薬剤師としての実績をフルにPR出来るような業務内容の求人がエーザイで発生した時に、その都度教えてもらえるので、うまく活用してください。

 

<薬剤師専門の転職会社>

 


転職を目指す会社が決まった場合、年収などの条件交渉を代行してもらうことも出来ます。年収アップに成功するケースが少なくないので、ぜひこういったサポートも受けてみてください。

 

なお、上記の転職会社は、当然、他社の中途採用情報も押さえています。薬剤師を募集するメーカーとしては、大塚製薬や塩野義製薬、小林製薬などの求人を扱っていることもあるので、興味がある人は、これらの企業の求人情報についても、確認してみてください。