薬局薬剤師に定年はありますか?

 

薬剤師というのは定年がある職業とも言えますし、無い職業とも言えます。大手の薬局チェーンだと、一般企業と全く同じなので、60歳定年制、本人が希望すれば再雇用制度で65歳まで延長可能というのが基本です。

 

一方、これが小さな薬局になると、かなり事情が違ってきます。以前は、薬剤師が勤務していれば、資格を持っていない人でも、薬を販売することが出来ましたが、現在は薬事法が改正されて、一類の薬に関しては、販売時に、薬剤師が説明しなければいけなくなりました。

 

つまり、営業時間中は、必ず一人以上の薬剤師が常駐しなければいけなくなり、一店舗を運営するために必要となる薬剤師の数が増えました。たとえば、営業時間が9時~19時の店舗の場合、準備作業などを含めると、労働時間は12~13時間ぐらいにはなるので、一人の薬剤師で回すのは無理です。

 

そこで、最低2人以上の薬剤師が必要となります。(法改正前は、勤務している人があれば、その人がお店にいなくても問題なかったので、一人でも十分、間に合いました。)

 

こういった事情から、業界全体で、必要とされる薬剤師の数は急激に増え、大手店舗や都会の店舗でも、薬剤師の確保に苦戦しています。地方の薬局、小さな薬局であれば尚更です。そのため、高齢でも来てくれるのであれば、喜んで雇うという店舗は少なくありません。

 

実は管理人の義母が薬剤師ですが、70歳を超えた今も、現役で働いています。今の高齢者は元気ですから、70歳ぐらいでは、多少、業務処理のスピードが落ちるぐらいで、仕事振りは若い人と変わりません。

 

地方の薬局で、お客さんは固定客なので、昔から付き合いがある義母のほうが、最近入社した若い子よりも、コミュニケーションが取れて、スムーズに仕事が回るようです。こんな事情があるので、薬剤師というのは比較的、定年を気にせずに働ける職業と言えるでしょう。

 

薬剤師が余っているという話は本当?

ここまで読み進めてみて、『薬剤師って余っているんじゃないの?』と、疑問に思われるかもしれません。薬剤師の余剰問題というのは、色々なメディアで取り上げられていますが、実は、この話には一つ考慮しなければいけないことがあります。

 

それは、統計で集計される『薬剤師の数』というのは、『薬剤師の資格を持つ人の数』であるということです。決して、『薬剤師として働いている人』ではないというのがポイントです。

 

たとえば、薬剤師は女性の割合が高い職業ですが、現在、育児中で仕事を離れているといった人は非常に多いです。しかしながら、こういった数はカウントされていません。休職中の人も、全て『現役薬剤師』として数に入っています。

 

育児以外にも、様々な理由で休職している人は多いですし、そもそも、資格は取ったけど働いていないという人もいます。

 

ここに地域ごとの偏りなども発生するので、そう考えると、薬剤師が十分に足りているというのは、実情を正確に表現している話ではありません。実際、人材確保に苦労している店舗のほうが多いのですから・・・

 

ちなみに、店舗と薬剤師の数を比較して、最も余剰率が高い地域というのは、やはり東京になりますが、都内であっても、仕事は幾らでもあります。強いていえば、他の地域と比較して、給与が高い、福利厚生が充実しているといった、オイシイ求人を探しにくいといった程度です。

 

条件面について、それほど気にしなければ、幾らでも仕事があります。(気にしないといっても、薬剤師ですから、他の職業と比較すれば、なかなかの好条件です。)

 

今後も定年を超えて働ける可能性が高い

毎年、新たに薬剤師の資格を取得する人が出てきますが、ドラッグストアや調剤薬局の数も増えているので、こういったことを加味すると、今後も薬剤師というのは、定年を過ぎても仕事に就ける可能性がある職業と言えます。

 

また、製薬会社や医療機器メーカー、CRO企業など、民間企業のなかでも、薬剤師に対する需要が増えています。調剤薬局やドラッグストアよりも、高収入でかつ、仕事もチャレンジングなので、若い人のなかには、民間企業への就職を選択する人が少なくありません。

 

結果として、薬局やドラッグストアに人材が供給されないという事情があり、高齢者に仕事が回ってくるというわけです。

 

国が医療費の抑制に力をいれているので、薬剤師の収入レベルが落ちることは十分に考えられますが、それでも、一般的な職業と比較すれば、定年を気にせず、有利な条件で働ける職種ではあり続けるでしょう。これは高度な知識を必要とする専門職ならではのメリットです。

 

下記ページに、60代の薬剤師が活躍している薬局からの求人情報をまとめています。あくまでも一例ですが、こういった求人も存在するということで、参考にしてみてください。

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