薬剤師として働いていたけど、子どもが生まれたタイミングで退社。このまま専業主婦を続けるはずだったけど、予期せぬ事態により、突然シングルマザーに。
幸いにも薬剤師という資格を持ち、働いていた経験はあるのでなんとかなるだろうと思う一方で、長いブランクで再就職に対する不安がとても大きい。
とはいえ、当面の生活費、これからの教育費を稼がないといけないから、ウダウダ言ってもいられない。
そんな人ですね。
でも、結論から言えば、薬剤師という資格さえあれば、全く問題なしです。シングルマザーだと、『残業は無理』、『土日は家にいたい』など、働き方に融通が効かないことが多いと思いますが、それでも、間違いなく仕事は見つかります。
ほかの仕事では有り得ないことですが、薬剤師や看護師など、医療系の資格を持っているというのは強いです。
目次
ブランクや知識・スキルの不足についても、心配する必要がない
ブランクの長さや、知識・スキルの有無についても、特に問題ありません。もっと言えば、薬剤師の資格はあるけど、実際に働いたことがないという未経験者でも、雇ってもらえます。
それだけ、薬剤師に対する需要は高いということです。会社によっては、その人の実力を厳しくチェックするところもありますが、あくまでもごく一部の話なので、そういった会社を避けて応募すればOKです。
薬剤師であれば、託児所付きの職場を探しやすい
もう一つ、シングルマザーが働く時に、薬剤師という仕事のメリットは、託児所が付いている職場を探しやすいということです。
薬局や病院には、従業員専用の託児所を用意していたり、自社系列で運営している保育園に、優先的に入れるようにしていたりするところが多いです。
特に、病院だと、病児保育にも対応しているので、安心度はかなり高いです。
託児所は薬剤師の勤務時間に合わせているので、仮に24時間体制の病院だったら、1日中、いつでも預けることができます。
効率的に稼ぐための手段として、夜間勤務はオススメ
薬局でもそうですが、19時以降の勤務だと、時間帯に合わせて、夜間手当、深夜手当がもらえるので、シングルマザーでも、短時間で効率的に稼ぐために、週1~2日程度、夜間に働いている人は少なくないです。
ここは、家庭の事情も絡んできますが、夜、働くというのは、一つの考え方としてありです。
17時以降の勤務に対して、夜間手当を支給する薬局もあるので、17~21時勤務といった働き方をしている人もいます。
シングルマザーの薬剤師が仕事を探す時に、オススメのエージェント
求人数 | シングルマザーにオススメのポイント | |
---|---|---|
マイナビ薬剤師 | 42000件 | 託児所付き、看護休暇ありの求人が多い |
ファーマキャリア | 17000件 | ブランク空けのママ薬剤師の転職支援が得意 |
薬剤師求人.com | 89000件 | 託児所付きの求人が多い |
ファルマスタッフ | 52000件 | 高時給の派遣求人が多い |
採用してもらえるかどうかは、人間性次第
冒頭で薬剤師というのは、資格さえあれば、誰でも雇ってもらえる職業とお伝えしました。実際、経験やスキルについては、それほど重視されませんが、その一方で、人間性というのは、チェックされます。
仕事というのは、多くの人と関わりを持ちながら進めていくものですから、人間性に問題がある人は敬遠されます。
とはいっても、何か特別なことを求められるわけではありません。社会人としての良識があれば、それで十分です。
あとは、薬剤師というのも、患者さんを相手にする客商売なので、コミュニケーションスキルは要求されますが、それも、患者さんに薬のことを丁寧・的確に説明できる、患者さんからの質問に、しっかり受け答えできるといった常識的なことであり、難しいことではありません。
ただし、こういったことが苦手ということだと、採用される確率が低くなるので、要注意です。下記に、採用されやすい人、されにくい人の特徴をまとめていますので、もし、『されにくい人の特徴』に当てはまることがあれば、改善することを心がけてください。
すぐに採用してもらえる人の特徴 | なかなか採用してもらえない人の特徴 |
---|---|
コミュニケーションがしっかり取れる | 意思疎通がスムーズに取れない |
[char no=”1″ char=”薬剤師”]テキスト採用してもらえない人の特徴に当てはまらなければ、大丈夫[/char]
【モデルケースを説明】シングルマザーの薬剤師にオススメの働き方と年収の目安
ケース1:フルタイムの正社員として働く
子育てをしながら、仕事をする。それも一人で・・・となると、不安が大きくなるかもしれませんが、薬剤師の場合、職場を上手に選べば、子育てを両立させながらでも、正社員として働いて、一定の収入を得ることが可能です。
薬剤師の職場は、大きく分けて、調剤薬局・ドラッグストア・病院と3つありますが、正社員を希望するなら、調剤薬局が断然オススメです。
調剤薬局は休みが多い
その理由は、調剤薬局であれば、自分の時間を確保しながら、バランスよく働けるからです。調剤薬局は、日曜と祝日が休みになっているところが多く、かつ、総合病院の門前にある薬局以外であれば、たいてい、定時で帰宅できます。
自分の時間が取れるというのは、シングルマザーにとっては、かなり大きいと思います。
未経験者、ブランク空けの薬剤師でも採用されやすい
調剤薬局は、薬剤師の資格さえあれば、採用してもらえるという、応募時のハードルの低さも、魅力の一つです。
ブランクがあっても、調剤経験があれば、すぐに採用が決まります。特に、個人病院の門前にある薬局であれば、取り扱う薬剤が少なく、それほど高度スキル・知識を求められないため、さらに敷居は低くなります。
病院に勤務する薬剤師と違い、高度医療を扱うケースが少ないので、安心です。
未経験でも年収400万円以上が可能
調剤薬局に勤務した時の収入ですが、未経験者でも、年収400万程度は確実ですし、薬剤師としての勤務経験が1年以上あれば、少なくても年収450 万、薬局によっては、600万前後になる可能性もあります。
これは、賞与も含めた数字となりますが、これぐらいの年収があれば、生活費だけでなく、子どもの学費も十分にカバーできるはずです。
ケース2:パートとして働く
子どものことを考えると、どうしてもフルタイムで働くのは難しいという人もいると思いますが、その場合には、パートとして無理のない範囲内で働くことをオススメします。薬剤師は時給が高いので、パートでも生活費ぐらいは簡単に稼げます。
パート薬剤師の時給は最低1800円以上
パートだと、時給で働くことになりますが、未経験者と経験者で、金額が変わってきます。勤務先によっても違うので、あくまでもおおよその目安となりますが、未経験者で時給1800円、経験者で時給2200円程度は確実です。
この金額で、1日4時間、1ヶ月20日間働くと仮定すると、未経験者で月収14万円、経験者で18万円になります。半日勤務での収入ですから、かなりの額です。
勤務期間に応じて、時給を上げてくれる薬局も多いので、そういった職場を見つけると、さらに効率良く稼げます。
パートで働く時も、調剤薬局がオススメ
正社員同様、子どもを持つシングルマザーが働く職場としては、調剤薬局が最もオススメです。パートを募集する求人が多いので、仕事を探しやすいですし、人手不足の薬局が多く、緊急で薬剤師を探しているため、勤務時間など、働き方についても、要望を聞いてくれます。
なお、調剤薬局であれば、薬剤師、医療事務、一般事務など、様々な職種において、小さな子どもを持つ女性スタッフが、パートして活躍しています。もちろん、そのなかにはシングルマザーの人もいます。
そのため、会社も子育てに対する理解がありますし、職場には、お互いに協力しあう雰囲気があるので、何かと働きやすいです。
ケース3:フルタイムの派遣社員として働く
最近、注目を浴びているのが、派遣会社に登録して働くというスタイルです。雇用主が派遣会社となりますが、実際に働く職場は、薬局やドラッグストアなので、正社員やパートとして働くのと、働き方は変わりません。
派遣社員は時給が高い
では、なぜ注目を浴びているかというと、派遣社員は時給が高く設定されているためです。地域にもよりますが、パートよりも確実に、時給は高くなるはずです。
また、最近は、正社員やパートの求人よりも、数が多くなってきているので、仕事を見つけやすいというメリットもあります。
派遣社員はパート以上に自由が効く
小さな子どもを持つシングルマザーの薬剤師にとっての、派遣社員として働くことのもう一つメリットとして、自由が効くということがあります。
1日あたりの勤務時間、出勤日に関して、要望を聞いてもらえるのはもちろんのこと、休日出勤なし、残業なしといった働き方も問題なしです。
もし、派遣先の企業の事情で、自分が望まない働き方をせざるをえなくなったとしても、派遣会社に言えば、すぐに別の職場を紹介してもらえます。パートと違って、自分で仕事を探す必要がないので、この手間が省けるというのは、かなり楽です。
派遣社員は将来性がある
子どもが小さいうちだと、生活のことが最優先で、仕事の将来のことについては、あまり意識が向かないかもしれませんが、派遣社員というのは、薬剤師としてのキャリアを追求するうえでも便利です。
薬局、ドラッグストア、病院といったメジャーな職場だけでなく、製薬会社やCROの求人も扱っているので、条件がマッチすれば、DI、CRA、MR、翻訳など、特殊な仕事も紹介してもらえます。
また、派遣先から勤務態度を評価されれば、そのまま、その会社の正社員として雇ってもらうこともできます。
状況に応じて、柔軟に働き方を変えられるのは、シングルマザーの薬剤師にとっては、非常に大きなメリットだと思います。
薬剤師であれば、待機児童問題とも無縁
緊急に要して、今すぐにでも働きたいなど、事情を抱えて職場に復帰するママ薬剤師も多いでしょう。そうなると、子どもの預け先を探さなければならなくなりますが、保育園は、全国どこでも、飽和状態であり、すぐに入園できるところが見つかる可能性は低いです。
でも、薬剤師であれば、託児所付きの職場で働くことができます。ママ薬剤師向けに、自社で託児所を用意したり、近隣の保育園を提携するなどして、入所枠を確保する薬局やドラッグストア、病院が多いので、安心です。
託児所付きの職場を探す時の注意点
ただし、実際に、託児所付きの職場を探す時には、注意すべき点が一つあります。それは、求人情報に託児所に関する記載をしている企業というのは、実はかなり少ないということです。
求人情報を調べて、『預けられるところが見つからない』となったとしても、実際には、用意してある職場が多くあり、転職エージェントに相談すると、すぐに紹介してもらえたといった事例が多々あります。
この背景には、託児所の存在を明記すると、応募者が殺到するため、わざと非公開にしている会社が多いためです。
でも、転職エージェントであれば、こういった情報を隅々まで把握しているので、自分で探すよりも、紹介してもらったほうが速いという話になります。
託児所を設置している企業は、女性が抱える事情について理解がありますし、女性薬剤師を積極的に活用していこうという姿勢があるので、キャリアを積めるよう制度が整っている、時短制度があるなど、シングルマザーの薬剤師が働くメリットが、たくさんあります。
託児所がある職場が最も多いのは、病院
託児所を設置している職場というのは、看護師、医師など、女性比率が高い職場である病院が最も多く、病児保育、病後保育にも対応しているので、子育てという観点から考えるのであれば、ベストです。
ただし、求人自体が少ないうえ、給料が安いというのが、難点です。
自分で食い扶持を稼がなければいけないシングルマザーにとっては、これは死活問題であり、収入重視で考えると、やはり調剤薬局という選択になってきます。特に、大手の薬局チェーンであれば、施設が充実しているので、安心です。
もし、転職エージェントを利用せずに、自分で求人を探すのであれば、「働くママに優しい」と言ったニュアンスで、記載している求人が狙い目です。こういった求人を出している会社だと、託児所を用意しているケースが多いです。
ただ、こういったことを自分で調べるにも、時間・手間がかかるので、やはり、エージェントから紹介してもらったほうが便利です。
薬剤師の仕事と育児を両立するうえで、注意すること
頼れる人が周りにいない
一人で全てをやっていかなければいけない
シングルマザーだと、こういった状況に陥っている人もいるかもしれませんが、そういった場合、一番大切なのは、子どもを育てやすい環境を整えることであり、そのためには、子育て支援に積極的な職場を選ぶことです。
託児所もそうですが、時短勤務があるか、急な発熱など、子どもの体調変化での早退は可能なのか、仮に子どもが入院した場合、看護休暇はあるかといったことも、押さえておいてください。
雇用形態は正社員だけど、1日の勤務時間を短くできる制度です。給与はフルタイムで働く時から減額されますが、会社によっては、減額の幅が小さく抑えられていますし、福利厚生などの待遇については、正社員のものが、そのまま維持されます。
子育てが一段落するまで、利用する人が多い制度です。ちなみに、時短勤務は子どもが一定の年齢になるまで利用できる制度ですが、その年齢は企業によって違います。
3歳までという企業が最も多いのですが、最近は、小学校に入学するまで、小学校を卒業するまでなど、条件を緩くしている会社が増えてきており、子どもを持つママ薬剤師にとっては、有り難い状況です。
子どもの体調の変化や病院への通院などが理由で、休まなければいけない時に利用できるのが看護休暇です。予防接種などにも使えます。
看護休暇を導入している会社だと、有休とは別に、年間5~10日間の休みが取れるケースが多いです。
育児経験を持つ薬剤師がいる職場を選ぶ
もう一つ重要なことが、育児経験がある薬剤師が働いている職場を選ぶことです。特に、子育て経験を持つ女性薬剤師というのは、最強の理解者となってくれますし、子育てが一段落した年配の女性であれば、親身に協力してくれたりします。
一人で子どもを抱えて働かなければいけないシングルマザーの場合、周りの協力は欠かせません。仕事と子育てを両立しながら働くためには、理解ある職場を選ぶことが、重要です。
最近の若い男性は、育児に協力的な人が多いので、子どもを持つ男性薬剤師がいる職場というのもアリです。
ただ、40代、50代のオジサンだと、このあたりの理解がサッパリという人が少なくないので、注意してください。
シングルマザーの薬剤師に知っておいてほしい、公的支援制度
現在、日本では、夫婦の3組に1組は離婚している時代なので、シングルマザーというのは、ごく当たり前の存在なのですが、経済的に厳しい状態に置かれている人が多く、そのため、シングルマザーをサポートすることを目的とした公的制度が増えています。
でも、世間一般的に認知されておらず、活用が不十分という制度が多いのが現実です。ここで、支援制度に関する知識がある人とない人とでは、かなり状況が違ってきます。
こういった制度には、所得制限がかけられていることが多いので、フルタイムで働いているママ薬剤師だと、あまり活用できるものがないのですが、それでも、シングルマザー(一人親)であれば、無条件で利用できる制度もあります。
また、パートで働いている人だと、思いのほか、利用できる制度が多いですし、こういった制度を利用することで、働く時間を減らせるので、その余った時間を子どものために使うといったやりかたもあります。
いずれにしても、知識は力です。状況によっては、毎月5万円以上のお金をもらえることもあるので、知っておいて損はないです。下記のページに代表的な支援制度をリストアップしていますので、参考にしてください。