扶養控除

 

子育てから復帰する時、育児のことを考えて勤務時間を短くして、扶養の範囲内で働くことを考える人もいますが、これにはメリット・デメリットがあります。

 

良い点・悪い点を比較検討して決めないと、働き始めた後に後悔することになりますので、注意してください。

 

目次

メリット

 

扶養の範囲内に働く最大のメリットは税金です。扶養の範囲内であれば、自分の給与に対して税金がかからないですし、ご主人が働いて収入を得ている場合、年間38万円の扶養控除が使えるので、旦那さんの税金も安くなります。

 

もう一つのメリットは時間の自由度。当然、勤務時間は短くなるので、その分、家事・育児に時間を割くことが出来ます。薬剤師の場合、時給が高いだけに扶養の範囲内で働こうとしたら、週10時間労働ぐらいになります。

 

1日5時間x2日間働くといったスケジュール感になるので、かなり余裕があります。

 

『こんなに短い時間しか働かなくても雇ってもらえるの?』と疑問に思われるかもしれませんが、平日の忙しい時や人手が足りなくなりがちな週末にだけお願いしたいと薬局・病院は多いので、そのあたりを納得するのであれば、喜んで雇ってもらえます。

 

デメリット

 

収入が少なくなるというのは、扶養の範囲内で働こうとする人にとっては、想定の範囲内だと思いますが、それ以上に考えるべきことは、自分自身の薬剤師としてのキャリアです。

 

子供が大きくなった後、薬剤師として本格的に復帰しようと考えているのであれば、ある程度の時間は働いておいたほうがいいです。

 

医療業界というのは変化が速いので、ブランクがあると、ついていくのが大変です。それは雇う側も分かっているので、特に年齢が高い人だと敬遠されがちです。

 

今でこそ、薬剤師は人手不足なので、働き口を探すのに困りませんが、今後もこの状態が続くとは限りません。数年後には、薬剤師の供給過剰で、実力主義の世界になる可能性があります。(そうなると思ったほうがいいでしょう。)

 

そんな時代にも生き残れるために、今から薬剤師としてのスキルを磨いておく必要があります。

 

あくまでも育児に支障がないということが大前提ですが、そのなかで出来る限り働くというほうが、将来のキャリアのことを考えると無難です。時短制度を活用するという選択もあります。

 

最後に、これは今現在の話ですが、扶養の範囲内だと、短時間労働になるため、幾ら薬剤師不足といっても、どこでも雇ってもらえるというわけではありません。メリットのところでも触れたように、ある程度選択の幅は狭まってきますので、そこは頭に入れておいてください。

 

扶養控除に関する税金のシミュレーション

 

ちなみに、扶養の範囲を超えると、税金を払わなければならなくなるので、損をすると思われている方もいると思いますので、この点について一言触れておきます。

 

まず、税金についてはそれほど気にする必要はありません。仮に年収が120万円の場合、所得税は下記のような計算になります。

 

120万(収入)-65万(給与所得控除)-38万(基礎控除)=17万(課税所得)
17万(課税所得)×5%(税率)=8500円(所得税)

 

住民税は、市町村によって違いがあるのですが、おおむね2〜2.5万円ぐらいでおさまるはずなので、トータルで約3万円ということになります。

 

103万円の場合はゼロですが、120万円働いた時は税金を払っても手取りとして117万円入るので、こちらのほうが手元にお金が多く残ることになります。

 

もう一つ、扶養控除がなくなることで、夫の税金も増えますが、増額分は3.8万円なので、その分を差し引いても、残るのは113万円。扶養の範囲内で働くよりも、お得という結論です。

 

ただし、ここで気をつけなければいけないのが健康保険と年金。年収が130万円を超えると、自分で払わなければいけなくなります。その場合の最低負担額は年間おおよそ30万円

 

それを考えると、年収130万円を超えるのであれば、160万円以上は稼がないと、かえって手取額が減るという計算になります。このあたりを目安にして判断していくと間違いないと思います。

 

結論

 

ブランクを経て、本格的に復帰することを考えているのであれば、扶養の範囲内で働くという選択肢は避けたほうがいいと思います。

 

子育てに時間を割きたいという理由であれば、妥当な判断ですが、単純に税金が安くなるからといった金銭的な理由だと、あまり良い結果にはつながらないというのが、当サイト管理人の結論です。

 

一つの意見として参考にして頂ければと思います。